お店探訪『菓心 桔梗屋』(1)

日々食べられて普段遣いができ、
目にもたのしい「映える」和菓子を、
桔梗屋は毎日作り続けています。

桔梗屋62年の定番! 「みかぼ焼」

さっぱりした甘さが自慢の「みかぼ焼」。

 

桔梗屋(ききょうや)は今年で62周年。つまり1959年、昭和34年創業。今年90歳を迎える初代店主の須田信義さんが、この地で創業しました。信義さんは群馬県生まれ。手に職を身につけるために横浜は六角橋で修行していたころの店の名が「桔梗屋」で、当時としてはたいへんに都会的なお店だったそう。パンを作っているお菓子屋さんでも修行し、後に新丸子で開業したのが始まり。

今では新丸子のソウルフードにもたとえられる「みかぼ焼」ですが、これこそは信義さんが考案し、妻の文子さんと共に育て上げた自慢の逸品です。見た目からわかるよう、地方によっては今川焼きとか大判焼きと呼ばれるものに近いのですが、桔梗屋秘伝である厳選した素材を独自配合しています。表面サックリ、中はしっとりと仕上がり、後味のよい甘さが特徴です。

夫婦でつくり続けたみかぼ焼きがやっと定番として売れるようになった1970年中盤。『およげたいやきくん』が一大ブームになったことを覚えている人はもういい年齢でしょう。このころ、みかぼ焼きを買いに訪れた子供という子供が、「鯛の形をしていないからいやだぁ~」と駄々をこねて大変だったという昔話も・・・。

ところで「みかぼ」とは何か?

ヒントは信義さんの故郷、群馬県。

わかる人は同郷の方でしょうかね?

季節と時刻によっては、店頭で焼いているところをみられますよ。

 

群馬県の藤岡市には、御荷鉾山(みかぼやま)という、古くより地元の人々の信仰のよりどころになっている名山があります。

そう。信義さん。「初心を忘れず美味しい和菓子をつくり続けるために、この山の名をいただいた」のだそうです。

創業以来62年。還暦を過ぎるお店の定番になった「みかぼ焼」。買ったその日の内にお召し上がりあれ。

2回につづく

写真:  松下哲也      文章:久門 易

 

 

  •  新丸子駅西口、徒歩1分。医大モール右側。
  • 電話 : 044-722-2755
  • 定休日 : 日曜日 (節句やお彼岸などは休みなく営業)
  • 営業時間 : 10時~18時30分
  • 住所 : 新丸子町754番地
  • http://kikyoya.net/