お店探訪『菓心 桔梗屋』(2)

2代目が考案 「丸子まんじゅう」

後味よい甘さが魅力の「新丸子まんじゅう」

 

現在の店主である義孝さんは、1960年、昭和35年生まれ。桔梗屋を継ぐため、 大学を出てから、日吉の和菓子店で5年間の修行をしたのだそうです。

「いくらちゃんとした学校でも、実売品を作るお店で働いて学べることは違うよね」

今、店頭に立つこともある三代目も大学をでてから千葉の和菓子店での修行を経験しています。

「和菓子の業界は組合がしっかりしていて、他の店の若い子を快く育てる環境があるんですよ」

もちろん今は丁稚奉公のようなただ働きではなく、ちゃんと給料もでるといいます。

「でもまあ私らの時代は、繁忙期になると寝る時間もほとんどなく働き詰めだったこともあるけれどね」

そんな義孝さんが、20年程前に考案したお菓子が新丸子まんじゅうです。次回詳しく紹介しますが、十勝産の小豆から手作りしたこしあんを、波照間産の黒糖と北海道産の小麦を使った皮で包んだ「新丸子まんじゅう」です。一口サイズで、手頃な価格も手伝って、今では新丸子名物として知られています。

 

若いお客さんに人気。三代目の自由研究

 

そして今、店頭には「三代目の自由研究」と名付けられたコーナーがあります。今年26歳の三代目である洋義さん(三人とも名前に「義」があるのです)がオリジナルで考案した和菓子、3代目コーヒーブラザーズ「長男」「次男」「三男」シリーズなどが並び、桔梗屋のラインナップに新しい風をもちこんでいます。

「2020年の2月から始めたから、一年少し。私らのお菓子よりもちょっと値段も高いんだけど、結構人気があるんですよ。私たちは何も言っていないんだけど、溝ノ口マルシェで販売できるように営業してきたりして頑張ってますよ」

2019年に修行を終えてデビューした三代目が、初代、二代目に挑戦状を突きつけ、お菓子を競作してお客さんに投票してもらう「桔梗屋総選挙」なるイベントを開催するなど、本当に仲のよいライバル親子です。

3回につづく

写真:  松下哲也      文章:久門 易

  •  新丸子駅西口、徒歩1分。医大モール右側。
  • 電話 : 044-722-2755
  • 定休日 : 日曜日 (節句やお彼岸などは休みなく営業)
  • 営業時間 : 10時~18時30分
  • 住所 : 新丸子町754番地
  • http://kikyoya.net/