お店探訪『菓心 桔梗屋』(3)

素材選びから、あんこづくりまで

桔梗屋は創業以来あんこを手作りしている、今では数少ない和菓子店です。

「川崎にある和菓子店は50~60あるけれど、自家製あんこを使っているお店は5軒くらいしかないんじゃないかなぁ。特にこしあんを作るのは手間がかかるからね。」

普通に食べるだけだと気づきにくいことですが、作るお菓子の種類、そして日々の気温や湿度によって水や砂糖の量や煮込み方などを変え、あんこの固さや甘さを変えているそうです。これによって、それぞれの個性が引き立つお菓子になるわけですが、こうした丁寧な作り方はもちろん、徹底した素材選びにも美味しさの秘訣があります。

 

小豆は北海道・十勝産

十勝産の「雅」。店頭で見られますよ。

桔梗屋のあんこ作りに欠かせない一番は、北海道・十勝産の選別小豆「雅(みやび)」です。

大粒で粒揃いが良い小豆としてら知られる銘柄で、中でも十勝産は品質が安定しており、「紅い光沢が鮮やか」「甘みが上品で強い」のが特徴だそうです。

黒糖は沖縄・波照間産!

黒糖ブロックが入っている段ボール

桔梗屋のお菓子はやさしく後味のよい甘さが特徴。この甘みを得るため、ありとあらゆる黒糖を食べ比べ、その結果、沖縄は波照間の黒糖に辿り着いたそうです。

一度、粉にしてしまうと参加するなどして新鮮さが失われるため、粉ではなくブロックのまま購入しているそう。その重さ、なんと一箱30キログラム。段ボールの中には、幅50センチ、奥行き10センチ、厚さ3~5センチの黒糖ブロックが入っています。厚さが結構まちまちだったりするのは、手作りの証でしょうか。

お菓子を作るのに合わせて、ブロックを金槌でガンガン叩くところから始めて粉にします。その音は奥から店頭にまで届き、「今日は何か工事をしているの?」ってお客さんから聞かれることもあるくらい豪快です。

一回分を砕いて粉にするのに延々30分以上叩き続ける根気づくの作業です。

 

左のムービーで、黒糖作りの様子が見られます。

1分弱です。

豪快さをぜひご覧ください。

4回目につづく

写真:松下哲也  文章:久門 易

  •  新丸子駅西口、徒歩1分。医大モール右側。
  • 電話 : 044-722-2755
  • 定休日 : 日曜日 (節句やお彼岸などは休みなく営業)
  • 営業時間 : 10時~18時30分
  • 住所 : 新丸子町754番地
  • http://kikyoya.net/